耐震リフォームは大きく分類すると、「柱・壁の補強と追加」「屋根の耐震化」「基礎の補強」という3つに分けることができます。
しかし、これら3つを同時に行うと大規模な工事になりますし、日数もかかり、費用も相当な金額を覚悟しなければなりません。
そのため、部分的な耐震リフォームを順次行うケースが増えています。
今回は、耐震リフォームを行う場合の優先順位について、簡単に説明していきたいと思います。
耐震リフォームの優先順位
柱や壁の補強と追加
家屋の構造部分を中心的に耐震化することが一番重要です。そのなかでも、耐震壁と呼ばれる壁の配置やバランスなどを見直しましょう。耐震壁が根本的に不足している場合もありますし、配置が悪く耐震壁としての効果が最大限に活かされていないというケースもあります。
同じく構造的な部分なのですが、耐震リフォームに欠かせないのが筋交いという柱の存在です。古い家屋では、この筋交いの箇所が足りていないケースも多く、筋交いがほとんど入っていないという家屋も珍しくありません。
耐震壁や筋交いなどは、大規模な工事になりますが、構造的な補強ポイントとして、柱と柱などの接合部分を金物で補強するような簡単な工事もあります。
屋根の耐震化
屋根の耐震化といっても、単純には屋根材を軽量化するのが一番効果的です。
古い日本家屋などは重量が重い和瓦などが仕様されていますので、これを軽量コンクリート系に変更するだけでも相当な重量を軽減できますし、同じ和風瓦ですので、見た目的な問題もクリアすることができます。
ただし、重量が重い和瓦などは、台風などの強風から家屋を守ることができますので、和瓦が必ずしも悪いということではありません。地震という観点でみた場合には、軽量化しておくのが良いということです。
基礎の補強
建物全体を支えているのが、基礎部分です。
この基礎部分が軟弱であれば当然、地震などの際に建物そのものが倒壊したり、傾いてしまう恐れがあります。
1981年以降に建築されている住宅では、新建築基準法が適用されていますので、大きな問題はないと思いますが、1981年以前に建築されている建物であれば、基礎部分を一度調査する必要があります。
柱ごとにコンクリートで固めている「独立基礎」や、鉄筋が入っていない「無筋基礎」などの場合は、地震により甚大な被害が予想できますので、基礎の補強工事が必要となります。
また、基礎部分の耐震リフォームをするのであれば、同時に地盤の再調査もお願いしましょう。建物が建っている地盤に合った基礎をしっかり作ることが建物を守る第一歩になります。
地盤改良や基礎補強などとなると、かなり大規模な耐震リフォーム工事が予測されますが、建物が倒壊したり、地盤が沈下してしまってはどうしようもありません。
万が一に備えて、適切な耐震リフォームをしておくことが一番重要です。
最後になりますが、耐震リフォームを実施した場合、必ず施行業者と関係がない第三者的な立場の評価機関において、再度耐震診断の調査を実施することをお薦めします。
この再調査で、本当に当初予定していた通りの耐震力が備わったのかを確認して、耐震リフォームは終了となります。