エコキュートと勘違いされるのが「電気温水器」です。
あるメーカーから発売されている電気温水器の名称を「エコキュート」と呼ぶと思っている方が多いようですが、エコキュートと電気温水器は同じように電気を利用してお湯を沸かす給湯システムですが、まったくの別物です。
今回は、今注目のオール電化給湯システム「エコキュート」と「電気温水器」を電気料金や初期導入費用など、様々な面から比較してみたいと思います。
電気温水器とは
まず、電気温水器がどのような給湯システムなのか簡単に説明していきたいと思います。
電気温水器は、オール電化住宅の代名詞的な役割を担ってきた給湯システムです。
これまでの給湯システムの多くは、都市ガスやプロパンガスを使用したガス給湯器と灯油をエネルギー源にしている灯油ボイラーの2種類が主流だったのですが、ヒーター熱によってお湯を沸かす電気温水器が登場したことで、給湯システムの序列が大幅に変わりました。
電気温水器の特徴は、これまでのガスや灯油を利用した、給湯システムに比べて光熱費を大幅に抑えられることにあります。
電気料金が安い、深夜の時間帯を利用してお湯を沸かし、沸かしたお湯を150〜500?の貯水タンクに貯めておき、必要な時にすぐ利用できるようになっています。
これにより、これまで給湯に掛かっていた光熱費をおよそ50%程度削減できるようになったのです。
この電気温水器の登場により、オール電化住宅やオール電化マンションが大幅に普及したといわれています。
エコキュートと電気温水器の違い(お湯の作り方編)
エコキュートと電気温水器、どちらも電力を利用してお湯を沸かす機器という点では同じなのですが、その仕組みはまったく別物です。
まず、電気温水器のシステムですが、こちらは電気ヒーターによって貯めている水を温めるという方式です。
それに比べ、エコキュートではヒートポンプと呼ばれる機器を設置することで、ヒートポンプ機が外気中の空気を取り込み、圧縮することで熱を生みだし温水を作ります。
このようにエコキュートは電気温水器と比べると、ちょっと複雑なシステムになっています。そのため、設備機器にも違いがあります。
電気温水器は、お湯を貯めておく貯水タンクだけでよいのですが、エコキュートの場合には、お湯を貯めておく貯水タンクとは別にヒートポンプユニット(エアコンの室外機ほどの大きさ)を設置する必要がありますので、設置スペースの面でも違いがあります。
エコキュートと電気温水器の違い(光熱費・初期費用編)
電気温水器は、使用した電力に比例してお湯を沸かすことができますが、エコキュートの場合は、利用した電力以上の発電効果があります。
そのため、電気温水器と同じ程度のお湯を沸かすのに掛かる電力は約3分の1だと言われています。
このように光熱費を考えた場合には、間違いなくエコキュートに軍配があがります。
しかし、エコキュートの初期費用の平均相場が60万円ほど掛かるのに対し、電気温水器の初期費用相場は半分の30万円ほどです。
光熱費だけみると、エコキュートが断然お得なのですが、初期費用の差額を回収するには7年〜10年掛かる計算になってしまいます。
エコキュートと電気温水器の違い(耐用年数編)
ランニングコスト面では圧倒的に勝っているエコキュートですが、2001年に販売開始されて10年ほどしか経っていません。
一方、電気温水器は実用化が始まってすでに20年以上が経過しており、平均寿命は15年〜20年というのが実証されています。
エコキュートの寿命は10年〜15年といわれていますが、複雑な構造なので故障時に修理代が高くなるそうです。
エコキュートが本当に15年ほどの耐用性があるのかは、これからデーターが増えるにつれて解明されていくと思いますが、エコキュートを選択する場合には、故障時のことも考えて保証がしっかりしている販売店で購入することが重要だといえるでしょう。