直接引越しに関係している話ではありませんが、知っておいて損はないですし、引越し費用の足しにもなるので、今回は賃貸の敷金返還について少し話をしたいと思います。
賃貸からの引越は、敷金精算で損をしないようにする
家賃が10万円のマンションだった場合、敷金として3か月分くらいを払っているのが一般的だと思います。
この敷金は退去時に精算金として実費分を差し引いて返還されるのですが、これまでは3分の1程度が返還されれば御の字だと思っている人も多いのではないでしょうか。
つまり30万円敷金として払っていれば、退去時に10万円返ってくるのが平均的でした。
これは退去後のハウスクリーニングや壁紙の交換に実費精算分として充てられており、その残った金額が精算金として返還されるためです。
しかし、最近では少し事情が変わってきています。
これまで敷金から使われていたハウスクリーニング代や壁紙の交換費用は、入居者ではなく、家主が負担するのが相応だという考え方に変わっているからです。
これは実際の裁判でそのような判例が出たことがキッカケとなっています。
その裁判では、ハウスクリーニング代や壁紙の交換費用は、毎月の家賃に含まれていると解釈されたのです。
例えばこれまでタバコを吸う入居者だった場合、壁紙がタバコのヤニで黄ばんでしまうのは、タバコを吸う入居者のせいだという解釈でしたが、タバコを吸うのは一般利用の範囲内であり、入居者に重大な過失があるとは認められないという解釈になったのです。
つまり、一般的な利用をしているだけであり、入居者の責任で壁紙を交換する必要はないということです。
これは和室がある畳でも同じ解釈です。
一般的な使用でも畳は擦り減りますし、色も褪せます。
それでも入居者には責任はないことになります。
つまり自然消耗と判断されるので、その負担は家主側になるのです。
このような判例の結果から、最近では敷金の全額を返還するケースが増えました。
敷金から精算されるのは、入居者の重大な過失による損傷、鍵の交換費用、仲介業者の事務手数料くらいなのです。
そのため、一般的な使用をしていた賃貸物件であれば、預けておいた敷金のほぼ全額が返還されることになります。
しかし、不動産会社は入居者からの指摘が無い限り、これまで通りの敷金精算をしてきます。
そんなときは、ひとこと「国土交通省では、敷金返還についてのガイドラインが決められましたよね?今回の精算はそのガイドラインに沿った形で計算されていますか?」と尋ねてみてください。
この一言をいうだけで、ほとんどの不動産業者は敷金の返還に応じてくれるようになります。
どうしても自分で交渉できない場合
どうしても言い出しづらいとか、不動産会社が言い訳ばかりして話にならないという場合は、敷金返還を専門的に扱う鑑定人がいますので、その会社に相談してみましょう。
敷金鑑定人に依頼することで、正確な敷金返還額を算出してくれますし、仲介業者との代理交渉をお願いすることもできます。
料金もワンルームで1万円前後くらいなので、敷金が返ってくることを考えれば決して高い金額ではありません。