不動産業者と売主の会話

中古一戸建て住宅といっても、何千万円もする高額な商品なので、さぞ慎重に売り出し価格や値引き交渉をしていると思っている人が多いのではないでしょうか?

確かに不動産会社の営業マンも、お客様の大事な財産を販売させて頂いていますので、売り出し価格などに関しては、何度も売主さんと話し合いながら決めていきます。

そのため、売主さんが売れるであろうと思っている理想の金額と、不動産会社側が実際に売れる可能性がある金額を提示した際に、あまりにも金額に開きがあり、交渉が決裂する場合もあります。

しかし、これはあくまでも最初の販売価格を決めるときの話です。その後の値引き交渉などについては、みなさんが思っている以上にアッサリとしているケースが多いのです。

そこで、今回は実際に不動産会社で営業をしていた経験がある人にしか話せないであろう、業者と売主の交渉内容などを、事例的に紹介していきたいと思います。

お客さん情報を伝える

まず、売りに出している物件に興味をお持ちのお客様が来店していただき、物件の案内を希望しているケースです。

お客様の前で、売主の方に連絡をして、○月○日の何時くらいにご見学希望なのですが、よろしいでしょうか?という確認をします。

しかし、これはあくまでもお客様の前での話であり、お客様が帰られてから詳しい内容を売主の方に報告しているケースが多いのです。

この時の会話は、だいたい以下のような感じです。

営業「正式に○月○日の何時にお伺いすることに決まりましたので、よろしくお願いします」

売主「どんな感じの人なの?年齢とか職業は?」

営業「職業は○○で、年齢は30代前半のご夫婦とお子さんが2人です」

とうようにシンプルな感じですが、やはり売主がまず気にするのは、「年齢と職業や人柄」というケースが多いです。

物件見学後のやり取り

物件見学が終わると、営業マンからすれば、このお客さんが実際どれくらい購入の意思があるのか、だいたい解かります。

もちろん、物件見学の段階で価格や補修など、だいたいの希望も聞きだしています。お客様によっては、この段階で具体的な値引き交渉を持ちかけてくるケースも珍しくありません。

例えば売り出し価格が2100万円の物件だったとしましょう。
お客様からの要望は、住宅ローン2000万円と頭金200万円で納めて欲しいという内容です。
2100万円に諸費用が1割程度掛かりますので、合計2300万円ほど見ておく必要があります。そうなると、単純計算でも100万円の値引きが条件となる訳です。

営業「先ほどはありがとうございました」

売主「どんな感じでした?」

営業「気に入っておられましたよ。しかし、価格の問題が少しありますね」
営業「お客様としては2000万円の借入と頭金100万円が限界らしいので、諸費用まで考えると、2100万円から1割値引きの1890万円でご相談できませんか?」

売主「う〜ん、210万円の値引きは厳しいな」
売主「100万円なら落としてもいいから、2000万円で話してみてくれないかな」

営業「わかりました。それでは、2000万円で打診してみます」

というような感じです。全ての売主の人がこうとは限りませんが、皆さんが思っているよりも値引き交渉ってアッサリしているものですよ。

売主側にしても、多少の値引きは覚悟していますからね。

それと、営業マンもバカじゃありませんので、お客様の要望をそのまま売主に伝えるばかりではありません。このケースでも、当初からわざと100万円多く値引き交渉しているのが解かるように、売主にもお客様にも納得頂けるような落とし所を考えて交渉しているのです。

最終調整の内容

最終的な価格の調整ですが、上記では2100万円から100万円の値引きには売主もOKを出してくれています。

現時点では2100万円の物件が、2000万円まで下がっており、2000万円+諸費用200万円で合計2200万円となっています。

お客様の希望は借入2000万円+頭金200万円でしたので、合計2200万円となり、すでに希望通りなのですが、ここで営業マンは最後の仕上げに入ります。

営業「お客様に値引きの件をお伝えしたところ、喜んでおられました。そこで、今日は最終的な返事を頂こうと思っています」

営業「ただ、50万円くらいなら親兄弟に頼んで用意できそうだけど、100万円は厳しそうな感じでした。お客様も50万円は親兄弟にお願いしてみると言ってくれていますので、○○様も、もう50万円なんとか値引きお願いできませんか?」

売主「わかりました。後50万円なら構わないとお伝えしてください」

この50万円の更なる値引きを、売主からOK貰えるかが契約の鍵なのです。

営業「売主の方から、なんとか100万円の値引きを頂くことができました」
営業「これで合計2200万円以内になんとか収まりそうですので、ご決断頂けませんか?」

もちろん、2000万円以上する買い物です。二つ返事でOKしてくれる方は多くありません。
そこで、最終兵器なのが、最後の最後に取り付けた50万円の値引きです。
ここで「今日中に良い返事がもらえるなら、あと50万円値引きしても良いというOKを売主から頂いていいます」と言ってもいいのですが、それでは売主がすごく売り急いでいる感じがしてしまいます。

ですので、最後の50万円は売主からの値引きという話ではなく、不動産会社としての値引きという交渉をします。つまり、「今日、良い返事を頂ければ、仲介手数料から50万円値引きします」という感じです。

理由は何でもいいのですが、「実は他の不動産からも結構物件を見学したいという話が売主にきているらしく、当社としては何としても他社に取られる前に契約を決めたいと思っています。もちろん、仲介手数料から値引きする話は社長のOKも今日もらっています」

このように、値引き交渉には、お客様・売主・営業マンという3者の思惑が入り混じっています。そして、主導権を握っているのは、間違いなく仲介している営業マンなのです。

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