長期の景気低迷を考慮し、2009年12月に施行された「金融円滑化法」が2013年3月末で期限切れを迎えました。正式には「中小企業金融円滑法」という名称であり、企業向けの救済処置だと思われている方も多いようですが、実は中小企業と住宅ローンという2つの救済法案でもあったのです。
中小企業に関しては置いておくとして、今回はこの「金融円滑化法」が終了したことで、今後どのような事態が懸念されているのかを簡単に紹介していきたいと思います。
金融円滑化法とは?
この金融円滑化法と住宅ローンの関係ですが、すごく簡単にいってしますと、不景気の影響で当初予定していた住宅ローンの支払いが困難になってしまった場合、融資を受けている金融機関に相談することで、住宅ローン支払いを一定期間猶予してもらったり、支払い計画自体の見直しを検討してもらうことができるという内容でした。
この金融円滑化法が施行されるまで、いくら支払いが困難だと相談しても、金融機関は貸付中のローン条件を変更してくれることは本当に稀でした。金融機関が当初の支払い予定の変更に難色を示すのは、自分たちの審査能力について問題があることを認めることになるからだと言われています。
しかし、政府が「金融円滑化法」により、返済困難者への救済を義務化したことで、金融機関もこれまでの姿勢を改め、返済困難者の救済を積極的に行うようになったのです。
金融円滑化法の終了により、住宅ローン滞納者が増加する
これまで多くの支払い困難者を救済してきた「金融円滑化法」が2013年の3月をもって期限切れにより終了してしまいました。
これにより、これまで救済処置に積極的だった金融機関も昔のように、返済の猶予や返済条件の見直しなど厳しい対応を取ってくることが予測できます。もちろん、金融円滑化法により、返済の猶予を受けていたり、金利の優遇処置を受けていた方たちも、当初の支払い計画に戻ってしまうことになります。
こうなると当然懸念されるのが、住宅ローンの支払い滞納者の増加です。
また、金融円滑化法の本来の目的は中小企業の救済でもあり、法案の終了により今後倒産する中小企業が増加すると言われています。当然そうなると、倒産した企業に勤めていた方のなかにも、住宅ローンを抱えている人は大勢いるでしょう。
今現在住宅ローンの支払いに困っている人には、ちょっと厳しい言い方になるかもしれませんが、今後1年〜3年以内に住宅ローン支払いが困難になり、マイホームを手放す人は過去最大になるという予測もあります。
つまり、これから中古一戸建てや中古マンションの購入を検討している人にとっては、供給過多になることが容易に想像できるという訳です。もちろん、需要を供給が上回れば物価価格も下落傾向を辿ることになります。
これから中古住宅の購入を検討している人にとっては、豊富な物件が売りに出されることになるでしょうし、低価格で購入することも可能になるでしょう。
しかし、その一方で住宅ローン融資を行っている金融機関は多額の不良債権を抱えることになります。今よりも一層審査が厳しくなり、住宅ローン融資を受けることが難しくなることも覚えておきましょう。