余剰買取と全量買取の違い

2012年7月より、いよいよ全量買取制度が開始されます。

そこで、今回は「余剰買取制度」と「全量買取制度」の違いについて簡単に説明していきたいと思います。

まず、これまでの主流だった「余剰買取制度」ですが、これは昼間発電した電力のうち、消費しきれずに余った電力を電力会社に買い取ってもらうという制度でした。

しかし、「全量買取制度」では、昼間に発電した電力のすべてを電力会社へ売却するという方式になります。

なぜ、発電した電力を全て売ってしまうのか?

なぜ、せっかく自家発電した電力を使用せずに売ってしまうのか?という疑問を持たれる人もいるでしょうが、これには、売電価格と買電価格のカラクリがあります。

買電価格とは、電力会社からあなたが買っている電力の料金です。この買電価格は、契約内容により若干の差はありますが、平均すると24円/kW程度です。

また、売電価格とは、あなたが電力会社に売っている電力の料金であり、現在の売電価格は42円/kWとなっています。

単純に考えても、高く電力を売って、安い電力を買うのがお得だとわかりますよね。

このカラクリは、売電価格が42円/kWと高額であるために、成り立つのであり、本来の売電価格24円/kWでは決して成立しません。

つまり、現在のように42円/kWという高額な売電価格が継続されるのであれば、明らかに余剰買取制度よりも、全量買取制度の方が利用者にはお得なのです。

実際に計算してみよう

余剰買取制度と全量買取制度を実際の数字で比較してみましょう。

1日に10kWの電力を発電する太陽光発電システムを設置している家庭で考えてみたいと思います。
この家庭の1日の電力消費量を4kWとしましょう。

余剰買取制度の場合

10kW(発電)−4kW(消費)=6kW(余剰電力)
6kW×42円(売電価格)=252円
252円×30日=7,560円が1ヶ月の売電収入となります。

全量買取制度の場合

10kW(発電)×42円(売電価格)=420円
4kW×24円(買電価格)=96円
420円−96円=324円
324円×30日=9,720円が1ヶ月の売電収入となります。

この計算でいくと、1ヶ月の売電収入の差額は、9,720円−7,560円=2,160円となりますので、1年間で計算すると2,160円×12ヶ月=25,920円の差が生まれるわけです。

さらに、全量買取制度の契約期間は、20年間となる予定ですので、単純計算で50万円以上の差が出来てしまうことになります。

全量買取制度の問題点

上記で説明したように、全量買取制度が導入されることで、多くのメリットがあります。

しかし、全量買取制度を導入することで、問題となる部分もあるのです。

問題点1

既に太陽光発電システムを設置している家庭が、全量制度を導入するには、大幅な機器の変更が必要になります。もちろん、新たに設置したり、追加工事などの費用は個人負担になるとみられています。

問題点2

これまでの余剰買取制度であれば、余った電力を買い取ってもらえるので、家庭内で節電の意識が高まる効果も見込まれており、省エネにも効果的だと言われていました。
それが、全量買取制度を導入することで、節電への意識が低下するという意見もあるのです。

問題点3

太陽光発電システムを導入していない家庭への負担が大きくなる。
余剰買取制度にくらべ、全量買取制度のほうが、明らかに電力会社の出費は大きくなります。電力会社の負担は、かならず太陽光発電システムを導入していない家庭にも電気料金の値上げという形でシワ寄せがきます。



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