不動産の築年数によって売却査定価格はどう変わる?

戸建ては築10年で価値がゼロになるって本当?

戸建て住宅は築10年、分譲マンションであれば築20年で価値がほぼゼロになるという話を聞いたことがありませんか?この話を少し勘違いしている人も多いので、今回は築年数と不動産査定について解説していきます。

戸建て住宅は築10年過ぎたら建物の価値がゼロになる!
分譲マンションは築20年を過ぎたら資産価値がゼロになる!

建物の価値と資産価値なので、少しニュアンスは違いますが、基本的に同じことを言っていると思ってください。しかしこれを勘違いしている人が本当に多いです。これはあくまでも税制面での話しであり、不動産売買での話しではありません。

築年数が経過した家やマンションの査定価格は?

物件の築年数によって売却査定に影響するのは事実ですが、先でも言ったように戸建て住宅が10年で建物の価値がゼロになり、マンションが20年で資産価値がゼロになるという話はまずありません。

この話だと戸建て住宅は築10年を超えている物件は土地の値段だけで売買されることになりますし、マンションに関しては築20年を過ぎたらタダ同然で売買されていることになります。しかし、築20年なんてマンションは今でも多く売りに出されていますが、タダ同然の価格ではありませんよね。

この話の元になっているのは固定資産税などの評価額であったり、確定申告時の減価償却での話しです。それをそのまま不動産売買に当てはめて考える人が実は少なくありません。編集長が不動産の営業マンをしているときも、中古住宅を探しているお客さんから「家なんて10年過ぎたら価値はゼロなんだから、もっと値下げするよう売主に交渉してくれ」と何度か言われたことがあります。

当然新築時よりも価値が下がっているのは確かですけど、10年や20年で査定価格がゼロになるなんてことはまずありません。

ただし戸建て住宅に関しては築年数が相当数経過している物件については、建物の価値がゼロになることはあります。これは編集長の個人的意見ですが、築35年くらになるとほぼ建物としての査定は限りなくゼロに近くなると思います。

しかしマンションは話しが別です。今の時代では築年数が30年を過ぎているマンションなんて驚くほど多く中古市場に出回ってますが、それなりの価格で売買されています。

マンションと戸建ての売却査定価格の違い

せっかくなので戸建て住宅と分譲マンションの売却査定の違いについて解説したいと思います。

例えば新築時4000万円で購入した戸建て住宅と分譲マンションがあったとします。これらの物件の築年数と売却査定について解説していきます。

まず戸建て住宅の場合、緩やかに売却査定価格は下落していきます。

戸建て住宅の売却査定額

築0〜5年

3700万円

築6年〜10年

3450万円

築11年〜15年

3200万円

築16年〜20年

3050万円

築21年〜25年

2700万円

築26年〜30年

2550万円

築31年〜

2500万円

続いてマンションの場合、最初の10年で急激に下落し、その後は当初より緩やかな下落率を推移していきます。

分譲マンションの売却査定額

築0〜5年

3550万円

築6年〜10年

2950万円

築11年〜15年

2500万円

築16年〜20年

2100万円

築21年〜25年

1750万円

築26年〜30年

1550万円

築31年〜

1350万円

金額はあくまでも参考価格ですが、このような感じの下落推移となるのが一般的です。戸建てとマンションを比較してもらうと一目瞭然ですが、戸建ての方は一定額まで下がると、そこからはほとんど下がることはありません。

これは単純に建物の評価が限りなくゼロに近づき、査定額のほとんどが土地としての価値で価格を算出しているからです。それに比べマンションは築年数が経つにつれどんどん価値が下落していきます。これも説明するまでもないでしょうけど、戸建てのように土地としての価値がマンションになるとほとんど査定に反映されないのが理由です。

戸建て住宅とマンションでは売り時も違う

上の表を参考に築20年で売却することを想定して考えてみたいと思います。ここでまず気にしなければならないのが住宅ローンの残債ではないでしょうか。

4000万円の借入れ額として、金利は2.0%(35年固定)だったとしましょう。20年後住宅ローンはどれくらい残債が残っている状態だと思いますか?

簡易的な計算になりますが、20年後の住宅ローン残債は約2060万円ほどになります。
それでは先ほどの表で築21年のところを見てください。戸建て住宅であれば売却査定は2700万円、マンションの売却査定は1750万円となっています。
つまり新築時4000万円で購入したマンションを20年後に売却しようと思ったとき、住宅ローンの残債が上回っていることになります。

2060万円の残債があり、1750万円で売却したとして、約310万円の不足が出てしまいます。当然この不足分は売主が住宅ローンを借りてた金融機関に一括返済しなければなりませんし、それが出来なければ売却そのものを許可してくれません。

では、15年後で売却するとどうなるのでしょうか?
住宅ローン残債は約2620万円で、売却査定が2500万円なので、ほぼ同額程度で売却できることになります。

そのためマンション所有者は築15年前後で住み替えを考える人が急増します。ですので、マンションの中古市場には築10年〜15年くらいの物件数が割合の多くを占めているのです。それと築15年といえば、ちょうど子供たちが思春期を迎える年頃になるので、マンションから戸建てへ住み替えを検討するという理由にマッチする時期でもあります。

このように戸建てとマンションでは築年数に応じて査定額も違ってきます。ということは、それぞれに売却するのにふさわしい時期も異なるということです。売却を検討する場合は住宅ローンの残高などを視野に入れ、買い手の需要が高い段階で売り出すようにしましょう。

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