古くなった実家を土地ごと相続する際の注意点

少子化が進み、兄弟の数が減少していくにつれて、親から家や土地などの不動産を相続する人の割合が多くなっています。相続した家に引っ越して住むことになるならば話は早くわかりやすいのですが、どちらかと言えば、相続はしたものの住む予定はない、という場合の方が多いようです。

さらに、今住んでいる所から遠い場所の実家の場合、なおのこと相続したままの状態で放置してしまい、気がついたら何年も経ってしまっていた…ということになりかねません。「放置していても、特に問題ないのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、実は、相続した土地付きの古い実家を放置していると、思わぬ損をしてしまうことがあるのです。

放置するデメリット

土地ごと相続した実家を放置していると、どのようなデメリットがあり、どのような損をする可能性があるのでしょうか?

維持費がかかる

使う予定のない土地付きの古い実家を相続した場合、「いつか住むかもしれない…」、「そのうち賃貸に出すかもしれない…」などと考えているうちに、月日が経ってしまうことがあります。そうしている間にも、常にかかってしまっているのが住居の維持費です。

すぐに住むことができるようにしておいたり、貸したりできるようにしておくためには、当然ですが定期的な建物自体や部屋の中のメンテナンスが必要になってきます。壊れたり修理が必要になったりした屋根や外壁などを放っておくと、後々、住むにしても貸すにしても売るにしても、かなりの高いメンテナンス費が必要になってしまいます。

また、それらの費用に加えて必ずかかってくる費用が、土地付き家屋を所有しているだけで課せられる「固定資産税」です。相続した家が田舎にある場合、たいした額でないと侮りがちですが、毎年支払っていると、積もり積もってかなりの金額になることは言うまでもありません。

価値が下がる

「いつか売ろう」、「今、売らなくてもいいだろう」と考えて、相続した土地付きの家を放置していると、いざ売ろうと思った時に、かなり値段が下がってしまっていた…ということがよくあります。当然ですが、建物は年数が経てば価値や価格が下がってきますので、今売るよりも、何年か経ってからの方がどうしても安くなってしまいます。

価値が下がっても売ることができればまだよいのですが、建物の価値がなくなる、つまり、建物の値段がつかなくなり土地の値段だけになることもあり得ます。木造の戸建の耐用年数は一般的に22年とされていますので、その年数を越えると、家自体の価値はほとんどなくなってしまうと言われています。

また、家の価値はあきらめて土地だけの値打ちで売ろうとした場合、古屋となった家の解体費用などがかかりますので、さらに損をすることになりかねません。価値のなくなった古い家が、負の財産になってしまうこともあるのです。

固定資産税が上がる

維持費がかかるという点の一例として挙げた固定資産税ですが、相続した土地付きの古い家を何年も空き家のまま放置しておくと、固定資産税の金額が上がってしまう、ということになる場合もあります。

なぜ、そのようなことが起こり得るのかというと、「空き家等対策の推進に関する特別措置法」(平成27年より施行)により、市町村が、倒壊の恐れなどがある古い戸建ての空き家について、撤去や修繕の勧告・命令を出すことができるようになり、この勧告を受けた住宅は、住宅用の固定資産税の優遇を受けられなくなることになったからです。

つまり、古い建物の実家を空き家になったまま放置した結果、市町村から勧告を受けると、固定資産税が住宅用の優遇を受けている時に比べて、6倍になってしまう恐れがあるということになります。

相続した実家に住まない場合

古くなった実家を土地ごと相続して、そのまま放置することのデメリットについてみてきました。では、そのようなデメリットを回避して損をしないためには、相続した古い土地付きの実家をどのようにすればよいのでしょうか?

必要がない場合は売却してしまう

これから先、相続した実家に住んだり、誰かに貸したりする予定がない場合、つまり、その家を持ち続ける必要がない場合は、できるだけ早めに売却することをおすすめします。

「できるだけ早め」と述べたのには、理由があります。土地付きの古い実家を相続された人の中には、もう少し景気が良くなってから売ろうと考えたり、地価が上昇するかも…と思っていたりする人がいるかもしれません。しかし、そのような好機を待っている間にも、いろいろな維持費がかかるだけではなく、家の価値が下がっていく、ということを思い出してください。

少し景気がよくなり地価が上がったりしたとしても、その分かそれ以上に維持費がかかって、家自体の価値が下がってしまえば元も子もありませんよね。ですから、土地ごと相続した古い実家を「必要ない」と判断した場合、早めに売却する方向に動かれる方がよいでしょう。

古すぎて売却できない場合は?

早めに売却する方がよいと言っても、実際に売ろうとしてみると、古すぎて売れない…ということもあります。更地にして売る、という方法もありますが、それ以外にも、買い取り業者に買い取ってもらう、という手段があります。

通常の仲介では売れないような古い物件であっても、リフォームしてから売却することを前提として、古民家を探している古民家物件専門の買い取り業者が増えてきています。仲介での売却だと、売れるまでの期間がわからずいろいろと手続も面倒ですが、買い取り業者による買い取りだと、手続も簡単なので相続した実家が遠方にある場合などにとても便利です。

しかし、買い取り業者といってもさまざまですので、少しでも良い条件で買い取ってもらうためには、複数の買い取り業者に見積もってもらう方がよいでしょう。インターネットの一括査定サイトなどを利用すると、時間や労力をかけずに複数の業者に査定をしてもらうことができるのでおすすめです。

まとめ

古くなった実家を相続した場合、思い出などが詰まっていることも相まって、ついつい住む予定もないのにそのまま放置してしまう人が多いようです。特に遠方にある場合など、どのような状況なのかを定期的に確かめに行くこともせずに、そのまま放置…というケースに陥いることもあり得ます

しかし、相続した家をそのまま放置しておくと、維持費がかかり価値が下がっていくだけでなく、毎年支払う固定資産税が上がる可能性もあります。せっかく残してもらった財産を活かすことなく、反対に損をすることになってしまったら、本末転倒な話ですよね。

ですから、いろいろな思いがあるかもしれませんが、相続した実家について「必要ない」と判断された場合は、早めに売却されることをおすすめします。その際には、古すぎて売れないという場合に備えて、一般的な仲介業者だけでなく、買い取り専門の業者にも査定をしてもらっておくとよいでしょう。

仲介業者に依頼して売却する場合でも、買い取り業者に買い取ってもらう場合でも、業者選びはとても大切です。大切な相続財産を預けるわけですから、複数の業者をしっかりと比較した上で、信頼できる業者を選ぶようにしましょう。そのためにも、インターネットの一括査定サイトなどを上手に利用されることをおすすめします。

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