言いなりは損!売値を決める権利は持ち主にある

家やマンションを売却することになった時、一番の悩みとも言えるのが「いくらで売りに出すか」ですよね。不動産には、いわゆる「定価」というもがありませんので、売値を決めるのが非常に難しくなります。ですから、大抵の場合、査定をしてくれた不動産仲介業者が設定した売値で売りに出す人が多いようです。

でも、ちょっと待ってください。早く売ってしまいたいために、あえて安い価格で売り出すことをすすめる不動産仲介業者がいるのも事実です。そこで大切になるのが、最終的に売値を決めるのは、他でもない持ち主であるということ。その売値で売り出して、本当に良いのか、本当に満足なのかを、今一度考え直してみてはいかがでしょうか?

どのように査定価格が決まるのか?

不動産仲介業者が売値を設定する際に基準とするのが、その物件の査定価格です。実際に家やマンションを見に来て、「この物件でしたら、このくらいの査定価格ですね」と端的に言われることもあるようです。では、査定価格とはどのようにして決められるのでしょうか?

取引事例比較法

査定価格の決め方の中でも、かなりの割合で使われることが多いのが「取引事例比較法」です。これは、売りに出す家やマンションと同じような物件が、過去にどれくらいの価格で取引されたかをもとにして査定価格を決定する、という方法です。

取引事例法のメリット

できるだけ近隣で、広さや間取り、築年数、交通の便や教育施設からの距離などが似ている家やマンションが、実際にいくらで取引されていたのかを調べ、そこに経年数を考慮して査定価格を決めていきます。いわゆる「物件の相場」に近い価格を出すことができる方法として、査定時に使われることが多いようです。

取引事例法のデメリット

しかし、近隣に似たような物件の取引事例がない場合や、最新の取引事例からかなりの年数が経っていたり、景気の変化に伴って物価が大きく変わっていたりする場合などには、あまり参考にすることができないという欠点があります。

また、売り出す物件が、とてもユニークな間取りにリフォームしている、二世帯住宅であるなど、あまり一般的でないような物件に対しても適用することが難しくなります。そのような場合は、「取引事例比較法」だけではなく、他の方法を組み合わせながら査定価格を決めていくことになります。

収益還元法

「収益還元法」とは、その物件が将来生み出すと予測される収益をもとにして、査定価格を決定していく、という方法です。例えば、売り出す物件を賃貸物件として貸し出した場合、どれくらいの収益をあげることができるかどうかを算出し、その物件の価値を決めていきます。

「収益還元法」は、主に賃貸用などの収益物件の査定時に多く用いられる方法ですが、取引事例がないなどの特殊な場合などでは、一般的な物件の査定時においても、合理的な方法として使われることがあるようです。

原価法

「原価法」とは、売り出す物件と同じ家やマンションなどを、今もう一度建築する場合、建築資材や人件費などを合わせていくらかかるのかを試算し、そこで出た価格から、経過年数を考慮した上で査定価格を決定していくという方法です。

現在の物価状況などに対応した査定価格を出すことができると言えますが、反面、同じような建築資材などの調達にいくらかかるのかが明確にわからない場合には、当然ですが適用することが難しくなる査定方法であると言えます。

売り出し価格の決め方

査定価格をふまえた上で実際に売り出し価格を決める場合、どのようなことに注意しなければいけないのでしょうか?何から決めればよいのかわからない…という人は、まず3つの価格を算出してみましょう。

売り出し価格を決める3つの価格

では、具体的に3つの価格について見ていきましょう。

その1:これ以上下げられない価格

売りに出す家やマンションのローンが残っている場合、その残額を完済できる価格で売れないと、次のローンを組むことが難しくなるなど、困ることが多くなりますよね。また、進学や事業を始めるための資金として家やマンションを売る場合でも、これだけは必要!という額があるはずです。

このようなローンの完済に必要な額、または進学準備などに必要な額に、不動産仲介業者に支払う仲介料、そして転居にかかる引っ越し代などを合わせた額が、「この価格で売れないと困る価格」、つまり「これ以上下げられない価格」になります。

その2:売れそうな価格

「売れそうな価格」とは、不動産仲介業者が提示してくる売り出し価格になります。不動産仲介業者は、これまでの経験と査定価格に基づいて、あなたの家やマンションがいくらぐらいなら売れそうなのかを見極めた売値を提示してくれるでしょう。

しかし、ここで注意しないといけないのが、仲介業者が不動産のプロであるといっても、必ずしも見極めが常に正しいわけではないということです。また、最初に述べたように、早く契約を成立させて手数料を得たいために、安い価格を設定してくる仲介業者もいるようです。

ですから、この「売れそうな価格」を算出する場合は、1社だけではなく、不動産一括査定サイトなどを利用してできるだけ複数の仲介業者に査定を依頼し、査定価格と売れそうな価格をそれぞれから出してもらって比較することが大切になります。

その3:売れてほしい価格

「この価格で売れてくれないと困る」という価格をクリアするだけでなく、できれば少しでも高く売れてほしい、と思う人がほとんどですよね。それが「この価格で売れたらうれしい」という希望価格、つまり「売れてほしい価格」になります。

しかし、いくら希望価格とはいえ、あまりにも現実的でない価格を出してきても意味がありません。今、同じような家やマンションがいくらぐらいで売りに出されているかをインターネットなどで調べた上で、「売れてほしい価格」を決めるとよいでしょう。

実際の売値を決める

以上、「これ以上下げられない価格」と「売れそうな価格」、そして「売れてほしい価格」を見てきました。この3つの価格を算出したら、実際の売値を決めていきます。

初めにいくらで売りに出すか?

初めに出す売値の設定は、とても重要です。早く売れるようにと、いきなり「これ以上下げられない価格」で売りに出したら、購入希望者の値下げの要求に応えることができず、結局は売れにくくなってしまいます。

反対に高ければいいだろうと、「売れてほしい価格」や、それ以上の価格で売りに出したら、購入希望者が現れずに、結局大幅な値下げをすることになってしまい、物件の価値やイメージを下げてしまうことになります。

「これ以上下げられない価格」と「売れそうな価格」、そして「売れてほしい価格」の兼ね合いにもよりますので一概には言えませんが、「売れてほしい価格」と「売れそうな価格」の間で、初めの売り出し価格を設定するとよいでしょう。

値下げは必要?

値下げには2タイプあります。まず、なかなか購入希望者が現れないために、広告に出す売値を下げる値下げ。もう一つは、購入希望者が現れた時に行う、売買取引の上での値下げです。

広告に出す売値を下げる場合、「値段が下がったから、購入を検討しよう」という人が現れる一方で、その広告を見た購入希望者から「この物件は、売れないから値下げした」と思われてしまう可能性があります。ですから、広告に出す売値を下げる場合は、十分な注意が必要です。

一方、売買取引の上での値下げは、購入希望者に「買う」という決心をさせるためにはとても有効です。同じ価格の物件でも、値段を下げてもらった方が「お得感」が増すことは言うまでもありません。ですから、その値下げ分を見越した売値を設定することが大事だと言えるでしょう。

まとめ

売値の決定権は持ち主にある

いかがでしたか?ここまで読まれてきて、最終的に売値を決める権利は持ち主にある、ということがおわかりいただけたかと思います。しかし、いくら売主に売値の決定権があるといっても、そこは素人ですから読みが甘かったり設定を間違ったりする、という危険が常につきまといます。そのような危険を避けるためには、どうすればよいのでしょうか?

信頼できる仲介業者を選ぶ

そこで、大切になってくるのが「不動産仲介業者選び」です。素人ではわからない部分を補い、適切なアドバイスをしてくれる仲介業者をきちんと選ぶことができれば、あなたの希望の売値をしっかりと汲み取った上で、最適な売値を決めてくれることでしょう。

あなたに合った仲介業者を選ぶためには、できるだけ多くの仲介業者に査定を依頼して比較することが必要になります。でも、そんな時間もないし、できるだけ労力も使いたくない…。そんな人には、インターネットの不動産一括査定サイトがおすすめ。少ない時間と労力で、たくさんの仲介業者に査定を依頼することができますよ。

あなたの希望や意見を聞いた上で、最適な売値を決め、さらにあなたが満足する売却活動をしてくれる仲介業者を一括査定サイトで見つけて、あなたの不動産売却をぜひ成功させてくださいね。

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