敷金トラブルはお互いの言い分がありますので、なかなか話が進展しないというのが実状です。そこで敷金トラブルとなった場合の解決方法を紹介しておこうと思います。
入居者と家主による話し合い
1番理想の方法が当事者同士の話し合いで解決する方法です。
しかし、家主には高齢の方も多いので、まったく聞く耳をもっていない家主が多いというのも事実です。そのような場合は、無理に話し合いをせずに家主が信頼している不動産会社に仲介に入ってもらうのも1つの手段だと思います。
不動産業者を通して家主と話し合いをする
上記で紹介したように、家主のなかにはまったく聞く耳をもってくれない人も多くいますので、そのような際には家主が信頼している不動産業者に間に入ってもらい、あなたの主張などを家主側に伝えてもらうのが得策だと思います。
内容証明を郵送する
あなたの主張する敷金精算書を内容証明として家主に送付します。話し合いに応じてくれない家主などには、効果が高い手段だと思いますし、今後の交渉のためにも内容証明をあらかじめ送っておくことが重要なのです。
敷金鑑定士・敷金診断士に依頼する
国土交通省が制定しているガイドラインは負担割合など素人にはちょっと敷居が高いということもありますので、敷金鑑定士や敷金診断士などの専門家に適正な原状回復費用を試算してもらうのが1番確実な方法でもあります。
第三者を介入させることで、これまで硬直していた話し合いが進展することも期待できます。
弁護士に相談して代理人となってもらう
弁護士に法廷代理人を依頼する訳ではありません。あくまでも第三者を介入させて話し合いのテーブルを設けることが狙いの方法といえます。
また弁護士をあなたの代理人として家主と直接交渉を持ちかけることも早期解決への手段の1つです。
国の機関に相談する
「国民生活センター」「消費生活センター」「法テラス」といった機関でも敷金トラブルの相談をうけつけてくれます。これらの機関に相談するのは無料ですので、ぜひ利用したい機関です。
場合によっては、民事調停や弁護士の斡旋なども手配してくれますし、裁判費用などの貸し付けも行っています。
弁護士会の紛争解決センターを利用する
全国の都道府県には弁護士会がありますが、その多くで紛争解決センターが設置されています。これは、裁判をするまでもないような民事紛争を弁護士を交え、話し合いなどの解決・示談方法をサポートしてくれます。
経験豊富な弁護士が紛争解決のためにプロの視点から話し合いをしっかりサポートしてくれるので非常に話し合いがスムーズに進みます。
民事調停
簡易裁判所で行われる当事者同士の話し合いによる解決をめざすのが「民事調停」です。基本的には調停委員と呼ばれる人を中心に当事者同士の話し合いを進めていくのが民事調停です。弁護士会の紛争解決センターと似ていますが、基本的には仲介人が弁護士か調停委員かという違いだと思って良いでしょう。
基本的には当事者同士が顔を合わせて話し合いを行う訳ではなく、調停委員がお互いの言い分を聞き、妥協点や示談に向けた話し合いを進めていくようになり、合意点が見つかった時点で調停証書を作成するという流れになります。
この調停できまった内容を守らなかった場合には、強制執行などの手続きへと移行することが可能になります。30万円ほどの敷金トラブルであれば、費用も3000円くらいで済みますので非常にお手軽です。
支払い督促
支払い督促は簡易裁判所でおこないます。債権者(入居者)の申立てを受け簡易裁判所が申立て理由が適正と判断した場合に債務者(家主)へ支払いの督促を行う手続きのことです。
この督促を債務者(家主)が受け取って2週間以内に異議の申し立てを行わない場合には、その日から30日以内に「仮執行宣言」を付けることができ、その内容に基づき強制執行の申立てを行うことができるという手続きです。
つまり、法的な手段として債務者(家主)から敷金の返還を強制的に行えるという訳です。
少額訴訟
「少額訴訟」は60万円以下の金銭トラブルなど時に用いられる裁判方法の1つです。一般的な裁判と違い、簡易裁判所で行われます。
通常の裁判のように数ヶ月かけて法廷で争う必要もなく、大抵の場合は1日、たった1回の審理で結審しますので、非常にスピーディに解決します。
費用も10000円以内で収まりますので、費用面でも期間面でも重宝されています。敷金トラブルに用いられる法廷闘争の大半はこの「少額訴訟」だと思って良いでしょう。
ただし、相手側から通常裁判でも審理を求められると通常裁判で審理されることになりますので注意してください。
民事訴訟
「民事訴訟」とは、いわゆる一般的な裁判だと思ってください。それなりの時間も費用も必要になりますし、相手側が弁護士などを立ててくることも予想できます。
また、的確な証拠品や明確な理由などを細かく検証していくことになりますので、証拠や的確な指摘部分を細かくまとめておく必要があります。
一般的に敷金トラブルが民事訴訟にまで発展するケースは非常にまれですが、絶対に無いとは言えませんので、多少なりとも知識を身につけておく必要があります。
このように敷金トラブルの解決方法にはいろいろな方法がありますが、当事者同士の話し合いで解決するのが1番得策です。「敷金全額を絶対に取り戻してやる」とやっきにならずに、お互いがある程度の譲歩をすることも重要です。
ある程度の妥協点を最初に決めておくのもスムーズに話し合いを解決する手段の1つだと思います。