賃貸物件は階数が上になるほど家賃が高くなることはご存じだと思いますが、なぜ高層階になると家賃が高くなるのでしょうか？

それは高層階の方がいろいろなメリットがあるからです。具体的には以下のような点がメリットとして考えられます。

• 景観が良い
• 騒音が届きにくい
• 蚊などの虫に悩まされることがない
• 風通しが良い
• 防犯に良い
• プライバシーの確保ができる
• 日当たりが良い

一般的にはこのようなメリットが高層階の特長としてあげられますが、実際には料金分の価値はあるのでしょうか？高層階が存在する賃貸物件となれば、2階建てのアパートやハイツなどでも、1階より家賃が3000円〜5000円高くなっていることがよくあります。

もしたった1階と2階くらいの違いであれば、「防犯」「日当たり」「プライバシー」の3点くらいしかメリットして成立しませんよね。もちろん上の階からの騒音には悩まされませんが、逆に下の階への騒音に気を配る必要があります。これくらいのメリットで家賃が5000円も違うとなると、ちょっと高いのではないかというのが私の正直な意見です。

高層階のデメリットを考えてみる

高層マンションなどの賃貸を借りる際には、不動産会社の営業マンはメリット部分ばかりをクローズアップしてきますが、もちろんデメリットとなる部分も数多く存在しています。

同じように考えられるデメリットとして以下のような点があります。

• エレベーターラッシュがある
• 停電時にエレベーターが使用できなくなる
• 地震の際に揺れが激しい
• 火災時の避難が困難である
• ハトなどの鳥害がある
• 空き巣の被害が多い

もし高層階の部屋を借りるならば、このようなデメリットがあることを十分に理解しておくことが必要です。

1番と2番は共にエレベーターの問題ですが、高層マンションには朝のエレベーターラッシュというものがあります。さらに停電になるとエレベーターは使用できなくなるというリスクもありますね。

ちなみに、もし30階までを階段で上った場合には、時間にして10分ほどは掛かるそうです。10分と聞くとまあ我慢できる範囲かと思うかもしれませんが、実際には手すりなどにつかまらないと足が上がらないほどの疲労感がありますし、夏場だと密封されている非常階段は蒸し風呂状態の暑さです。

これを1度経験した人は二度と階段で上るという選択肢はしないほどだそうなので、高層階に住む場合には、いざという時に階段で上れるかどうかを検討しておく必要があるでしょう。

ハシゴ車は地上50ｍが限界

もうひとつ覚えておいてほしいのが、火災時の避難についてです。高層階になればなるほど火災時の避難は困難になります。

当然、エレベーターは緊急停止していますし、非常階段付近に火が回っていると非難経路が断たれた状態になります。そんな時に活躍してくれるのが、ハシゴ車なのですが、ハシゴ車は都内でも50ｍ級だそうです。これだと地上15階くらいが限界ということになります。

ちなみに地方の消防署にはハシゴ車40ｍ級しか配備されていない為、地上12階くらいまでしかハシゴが届かないということになります。この点も念のため覚えておきましょう。

最上階は防犯に注意

1階部分に次いで空き巣などの被害が多いのが最上階だということは意外と知られていません。最上階は、屋上からしてみればわずか1階下というだけでなので、ベランダなどに簡単に侵入できます。

最上階だからという安心感から窓の鍵を掛けていない入居者も多いので注意しましょう。さらに最上階に住んでいる人は富裕層の人が多いので、空き巣に狙われやすいという要因もあります。

角部屋について

最後にもう一つ、せっかくなので角部屋についても簡単に説明しておきたいと思います。

角部屋は、隣の騒音を気にする必要がなく、日当たりも確保できることで人気があります。私も不動産会社の営業マン時代に、「東南向きの角部屋と、東西向きの角部屋ではどちらがオススメですか？」と質問されたことがあります。

これは、個人の好き嫌いがありますので、一概には言えませんが、私は東南向けをオススメしていました。東南向きだと朝日が取り込めますし、西日なども極力抑えることができるというメリットがあるからです。

賃貸物件でも分譲マンションでも、まずは東南向きから埋まっていきますので、やはり一般的にも東南向きが人気のようですね。