定期借家(ていきしゃっか、またはていきしゃくや)契約とは、契約時に決められた年数が経つと強制的に退去しなくてはいけない物件を言います。
通常の賃貸物件であれば、2年契約が主流であり、2年後には契約更新という形で住み続けることができますし、家主の一方的な退去要請には引っ越し費用と称して、それなりの対応をしていただけます。
しかし、定期借家で2年契約となっている場合には、再契約を行わない限り、「必ず退去しなくてはならない」という条件がつきます。
借家に多い定期借家契約
以前までは一軒家などで定期借家契約は多く利用されてきました。これは、仕事上の都合などで一定期間だけ転勤をしなければならないなどの事情があって賃貸で貸し出されるケースや、ご両親が老人ホームなどに入所されて将来的には売却を考えられているというケースが多くあるからです。
しかし、近年ではアパートなどの賃貸物件で家賃滞納などが多く発生している現状を受け、アパートやマンションなどの賃貸物件でも定期借家契約を条件としている物件が急増しています。
定期借家物件のメリットとデメリット
定期借家契約というのは、これまでの説明でもわかるように圧倒的に家主側に有利な契約方法です。そのため定期借家物件では、礼金などを低く設定していたり、家賃を多少安く設定している物件が目立ちます。
メリットとして考えられる部分では初期費用や賃料が安くなるということくらいで、それ以外に入居者側にメリットはほとんどありません。
その一方で、デメリットとなる部分ですが、契約が満了すると家主側が再契約に同意しない限り、住み続けることが出来ないため、水漏れや設備などの不備があってもなかなか家主に改善を要求できないなど、家主のご機嫌を伺いながら生活しないといけないという大きな欠点があります。
また、物件によっては契約期間中に退去する場合には、違約金などを請求されるケースもあります。
なかには再契約時に家賃を10000円以上値上げしてきたという家主もいるほどです。もし引っ越し費用などの余裕がなければ、10000円以上の値上げにも従うしかありません。
このように定期借家契約とは、明らかに家主側のメリットが大きい契約方式です。転勤などの明確な理由もなく定期借家物件となっている場合には、家主などの人間性にまで注意して契約する必要があると言えるでしょう。